エアコンのスクラップは買い取りできる？価格や注意点を紹介

エアコンを処分する場合、リサイクル料金を支払う必要があります。そのため不要になったエアコンをスクラップとして売却しようと考えている方もいるでしょう。

しかし、家庭用のエアコンは家電リサイクル法の対象家電の一つです。エアコンの処分方法は、基本的にメーカーでのリサイクルか、中古品としてのリユースしか認められません。

本記事では、エアコンを処分する際の注意点や、例外的にスクラップとして売却できるケース、買取価格の目安について解説します。

エアコンのスクラップは買い取りできる？

テレビやエアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電は、処分する際にリサイクル料金や収集運搬料金の支払いが発生します。こうした家電は家電リサイクル法の対象品目となっており、家電小売店などでの引き取りや、メーカーでのリサイクルが義務付けられているからです（※1）。

そのため、不要になったエアコン（＝廃家電）は、基本的にスクラップとして売却することはできません。エアコンを廃家電として処分する場合は、以下のいずれかの方法で行う必要があります。

• エアコンを購入した家電小売店に連絡し、引き取りを依頼する
• お住まいの市区町村に問い合わせ、処分方法について相談する（購入した店舗名がわからない場合など）
• 郵便局にある振込用紙（家電リサイクル券）でリサイクル料金を支払い、お近くの指定引取場所にエアコンを持ち込む

 
このように廃家電の処分方法が決められているのは、無許可の回収業者に引き渡すと、フロンガスや鉛などの有害物質が自然環境に放出されたり、不適切な管理による火災につながったりする恐れがあるからです。

ただし、例外的にエアコンをスクラップとして売却できるケースもあります。エアコンを有害使用済機器保管等の届出を行っているスクラップ買取業者に持ち込むケースや、エアコン本体ではなく配線やパイプなどの部材をスクラップとして売却するケースです（※2）。

※1 環境省「家電リサイクル法対象製品の処理 」p1
※2 環境省「有害使用済機器を保管又は処分する事業者のみなさまへ」p1

有害使用済機器保管等の届出を行っている業者なら買い取り可能

有害使用済機器保管等の届出を行っている買取業者であれば、エアコン本体（室外機および室内機）をスクラップとして売却できます。

有害使用済機器とは、廃棄物処理法第17条の2第1項において、“使用を終了し、収集された機器のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの”と定義された廃棄物です（※1）。

つまり廃家電のうち、本来の用途でのリユースには適さないものの、スクラップとしては価値があるものを有害使用済機器と言います。有害使用済機器の対象となるのは、家電リサイクル法におけるテレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目に加えて、小型家電リサイクル法における28品目です（※2）。

お近くに有害使用済機器保管等の許可を受けている業者がある場合は、エアコン本体をスクラップとして売却することも検討してみましょう。エアコンの場合、内部のラジエーターや配管、コンプレッサーなどの部品が買取品目になっており、店舗によっては高価買取も可能です。

※1 環境省「Q&A 有害使用済機器保管等届出制度について」
※2 環境省「有害使用済機器を保管又は処分する事業者のみなさまへ」p1

エアコンの配線やパイプなどはスクラップとして売却できる

有害使用済機器保管等の許可がなくても、家電リサイクル法における引取対象でないものであれば、スクラップとして売却できます。エアコン本体と一緒に引き取れない品目には、例えば以下のようなものがあります（※）。

• リモコン用電池
• 別売りのドレンパイプ、配管パイプ、渡り線および配管カバー（スリムダクトなど）などの工事部材
• 室外機の置台および屋根
• 取扱説明書などの印刷物
• ヒートポンプ給湯機のヒートポンプユニット
• 外付けのコインボックス

 
この中でもスクラップとして価値が高いのは、銅が含まれる配線や配管（パイプ）です。エアコン本体を回収に出してしまっても、配線やパイプなどをスクラップ買取業者に持ち込めば、1kg単位で買い取りを依頼できます。

※ 一般財団法人 家電製品協会「対象廃棄物（家電4品目）一覧」

エアコンの買取価格はどのくらい？

エアコンの年式が比較的新しく、十分に使える状態の場合は、中古品販売店（リユースショップ）に売却することも可能です。環境省のホームページでも、まだ新しいエアコンはリサイクルではなく中古品として売却（リユース）することを推奨しています（※1）。ただし、リユースが可能なのは古物商の許可を取得した事業者のみです。

リユースショップに引き渡す場合の買取価格の目安は、エアコンのメーカーや品目にもよりますが、1万円～4万円ほどです。ただし人気商品でない場合、買取価格が低かったり、そもそも買い取りができない場合もあります。

また家電リサイクル法の対象とならない、エアコンの配線（ケーブル）や銅管（銅パイプ）などの部材は、スクラップとして売却可能です。株式会社JANKでは、エアコン配線用のFケーブルは1kg当たり620円、皮付きの銅パイプ（被覆銅管）は1kg当たり700円の買取価格で持ち込みを受け付けています（2024年6月現在）。

エアコンをリサイクルする場合、メーカーや品目によって990円または2,000円のリサイクル料金がかかります（※2）。メーカーによる引取対象ではないケーブルや銅管はスクラップとして売却すると、費用削減が可能です。

※1 環境省「廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください！」
※2 一般財団法人 家電リサイクル券センター「2024年4月版 リサイクル料金 一覧表」p3

エアコンスクラップを買い取ってもらうときの注意点

エアコンをスクラップ買取業者に売却するときの注意点は2つあります。

• 業務用のエアコンかどうかを確認する
• 雑品スクラップ（雑品くず）に対応していない業者もある

業務用のエアコンかどうかを確認する

業務用のエアコンには、有害物質であるフロン類が含まれるため、家電リサイクル法ではなく、フロン排出抑制法に基づいた対応が求められます。業務用のエアコンを処分する際は、フロン類の回収を第1種フロン類充填回収業者に依頼し、引取証明書を受け取りましょう（※）。

その後、エアコン本体は産業廃棄物収集運搬業許可を取得した事業者に引き渡す必要があります（事業者が充填回収業の登録を受けている場合は、同時にフロン類の回収も依頼可能）。エアコンの引き渡しに当たって、引取証明書の写しの交付が必要です（※）。

産業廃棄物収集運搬業の許可業者であれば、フロン類を回収した業務用エアコンをスクラップとして売却することも可能です。

※ 環境省「機器管理者の皆様へ」p2

雑品スクラップ（雑品くず）に対応していない業者もある

廃棄されたエアコンは、金属やプラスチックなどが混在した雑品スクラップ（雑品くず）に分類されます。雑品スクラップは、再資源化する上で仕分けや選別の手間がかかるため、スクラップ買取業者によっては持ち込みを受け付けていない場合もあります。

エアコンをスクラップ買取業者に持ち込む前に、ホームページなどで買取品目に含まれるかを確認しておきましょう。

エアコンはスクラップとして処分できない場合があるため注意しよう

家庭用のエアコンは、家電リサイクル法の対象品目に含まれるため、基本的に家電小売店などに引き取りを依頼し、メーカーによるリサイクルを行う必要があります。年式が比較的新しく、まだ使える状態のエアコンは、中古品販売店でのリユースも検討しましょう。

ただし、有害使用済機器保管等の許可を受けた事業者なら、エアコン本体をスクラップとして売却することが可能です。また配線やパイプなどの部材は、家電リサイクル法における引取対象ではありません。スクラップ買取業者に持ち込めば、1kg単位で買い取りを依頼できます。